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−庫裡から悶々−トップへ                                         (2011/01/12)
  第56回  思い出しても「ぞぉーっ」
 
庫裡から悶々
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第60回 復興に向けてひたすらに祈ろう

第59回 醜き禁じ手の伝統

第58回 さつまいもブームに寄せて

第57回 怪しいタイガーマスク現象

第56回 思い出しても「ぞぉーっ」

第55回 あぁ、日本よ何処へ行く

第54回 黄海上の因縁

第53回 新聞の酒

第52回 追憶のフィンガー・メロディー

第51回 “きょろきょろ人”

第50回 さあ大変!ハが抜けた

第49回 誰ぞ知る

第48回 国鉄由来の事故さばき

第47回 「○にする」

第46回 ゾロ薬品の普及を妨げるのは誰?

第45回 仏像展余話

第44回 “逆出家”老尼の有情無情

第43回 『K・Y』の政教一致

第42回 消えた檀家

第41回 臆病は隠蔽の母

第40回 撒き餌政治

第39回 串刺しルート

第38回 鈴虫だって「リンリ」と鳴く

第37回 複眼で成功した『おくりびと』

第36回 「笑っちゃう」ではすまない

第35回 語り継ぐ義挙

第34回 良い夢見ようよ

第33回 舌禍読禍宰相禍

第32回 冒頭の終わり


第31回 振り込め詐欺の真犯人

第30回 「老人力」のすすめ

第29回 僧徒たるを悔ゆる日

第28回 偶感「昭和二十年八月十五日」

第27回 仰げば恥ずかし わが師の陰

第26回 横綱の品格

第25回 『黄門さま』いずこ

第24回 戒めの16文字

第23回 百年目の「汚物教師」

第22回 怠慢の「12分」

第21回 物言いの一番

第20回 沖縄戦集団自決の真相究明に妥協は許されない

第19回 落ち葉して木々凛々と

第18回 『広辞苑』と私

第17回 子なき家

第16回 “軽老精神”

第15回 5W1Hプラスα

第14回 教育勅語から酌むべきもの

第13回 失われたニッポン人のDNAは再生出来るか

第12回 助けられたり助けたり

第11回 怯懦な共犯者

第10回 「最良のもの」探す日々

第9回 内角の和の中にをり石鼎忌

第8回 世直し先生は街角にいる

第7回 ある天文学者の遺言

第6回 壊れる家々の悲鳴

第5回 嗚呼!硫黄島−兵士たちの慟哭が聞こえる


第4回 よく聴けよ!柳沢大臣

第3回 無機質な社会の中で


第2回 義挙へのもどかしさ

第1回 ついの棲み家は姥捨山

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 カモン!ルーシー
とかくこの世はははんほほう話


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 檀林風発 
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肇道和尚の「如是我聞」

 危ういところだった。思い出しても、ぞっとする。
 昨年11月30日午後3時ごろのことだ。JR東海小田原駅の自動発券機3号機で新横浜までの乗車券を買おうと、クレジットカードを挿入、機械の指示に従って操作した。いつも自動券売機で『こだま&東京』と呼ばれる小田原―東京間往復の割引切符を買い求めているので、その購入手順は馴れているのだが、新横浜―東京間となると不慣れな日時、駅名、枚数、指定・自由の座席区分などを打ち込むのは意外と面倒臭い。一度指定したはずの「本日」の項が再び現れて戸惑っていると、突然、機械がフリーズしてしまった。カードは飲み込まれたままだ。


  乗車時刻は迫ってくる。とにかく切符を買わねば、と隣の4号機に移動して操作を繰り返したが、結果は同じで前に進まない。呼び出し用の小窓を開けて、「カウンターで買うからさっき、3号機に入れたカードを取り出してくれ」と叫んだが、「入ってません」とにべもない。その日は檀家の通夜式を控えていたから、気がせいていた。確かにカードを入れるまでの操作はしたはずだと思い返しながらも、キツネにつままれたような気分となり、ひょっとしたら挿入しなかったのかもしれない、と自分に自信がなくなった。半信半疑のまま窓口に現金を出して切符を購入し、ホームへと急いだが、結局、乗り遅れてしまった。


  次の列車を待つ間、よくよく考えたが、カードは機械の中に取り残されているに違いない。そう思って、発券機の前に引き返して、びっくりした。カード返却口の照明サインが点滅してカードの頭が飛び出していたのだ。たまたま利用客が少ない時間だったのだろうか。よくぞ私を待っていてくれた。一瞬、ほっとし、次の瞬間、ぞっとし、そのまた次の瞬間、怒りがこみあげた。万が一、悪意の第三者の手に渡っていたら、とんでもない被害を被るところではなかったか。さっきの職員は、本当に機械の中を調べたのか。悪用された場合、能天気に「ありません」と答えた職員は何処まで責任を取ってくれるのだろう。


 自動発券機にはいくつもの種類があり、同じJRでも各社で異なるから、機械馴れしていない者には不便だ。操作に手こずるのは私だけではあるまい。何かの手順を間違えてカードが機械に飲み込まれたままになるケースも少なくないはずだ。急ぎの旅に追われ、カードが戻る前にその場を離れてしまう人だっているだろう。カード詐欺への警告も繰り返されている物騒なご時世だけに、事が起きてから「申し訳ありません」と頭を下げられて済む問題ではない。取りあえず上司に事の顛末は報告しておいてくれ、と言い残してその場を離れた。


 各鉄道会社から実態を聞こうと電話で取材を始めて、また驚いた。NTTの番号案内が教えてくれる電話番号は、列車ダイヤや指定席の発売状況など限られたものだけ。「ご意見、ご相談窓口」に辿り着くまでのややこしいこと。一般人なら「面倒くさい」と諦めざるを得ないだろう。たとえば、JR東海の場合。小田原駅の電話番号を「104」の電話案内で尋ねても、各部局への直通の番号は「登録されていません」と教えて貰えない。案内してくれる「050-3772-3910」では音声案内だけ。「ご意見ご相談」の3番をプッシュして初めて直接会話できるが、どこそこにつないでくれと言っても、「ご用件は」「何のために」と無機質な声音で繰り返すばかりで埒があかない。別ルートで調べたJR各社広報部の電話対応も、『お尋ねの件については統計を取っていません』(JR西)、『まずカードをお返ししてから乗車券が出てくるシステムになっています(だから、問題ありません)』(JR東)……と素っ気ない。問題を提起しても、危機意識は皆無だった。


  「危機管理」はあらゆる業種、あらゆる職場の重点課題だが、特にたくさんの命を預かる鉄道事業者にとっては、最重要の緊急課題であるはずだ。だが、国鉄当時からの「事故を○(まる)にする=なかったことにする」悪しき慣習は、民営化後もまだ抜け切れていないようだ。


  以前、交通業者の会合で「私も輸送業者です」と自己紹介したことがある。「大乗」という名の運送事業者だと、大乗仏教をもじったのだ。
 仏教発祥の地・インドでは紀元前後の時代、伝統的仏教が教理的に走って、一般大衆に手の届かない存在となった。その時、もっとたくさんの人々が救われるようにと興った「大衆」のための運動が、大乗仏教へとつながった。「多くの人を乗せる大きな乗り物」の意味である。それなのにインドでは仏教が衰えてしまったが、それは回教徒の侵入が激しくなったためだけではない。難解な空理空論に没頭したため、大衆の支持を失ったせいだろう。何事も原点を無視したり、軽んじたとき破綻を招く。乗客の危機をなおざりにした鉄道経営は考えられない。ICカード利用の広域運用や電子マネー化はどんどん広がっている。カードの安全を2重3重に守る対策が不可欠だ。


 この原稿を書いている最中、JR東日本のPR誌『EAST』が送られてきた。小縣副社長の「サービスの品質を改革する」を読ませてもらった。中に「お客さまの声委員会」を新設し、客の意見要望を分析して経営改善の迅速化を図る、とあった。その志やよし。が、言うは易く行い難し。はて、さて、首尾はどうか。自動発券機も改良されるだろうか。







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