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−庫裡から悶々−トップへ                                         (2010/04/23)
    第51回     “きょろきょろ人”
 
庫裡から悶々
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第52回 追憶のフィンガー・メロディー

第51回 “きょろきょろ人”

第50回 さあ大変!ハが抜けた

第49回 誰ぞ知る

第48回 国鉄由来の事故さばき

第47回 「○にする」

第46回 ゾロ薬品の普及を妨げるのは誰?

第45回 仏像展余話

第44回 “逆出家”老尼の有情無情

第43回 『K・Y』の政教一致

第42回 消えた檀家

第41回 臆病は隠蔽の母

第40回 撒き餌政治

第39回 串刺しルート

第38回 鈴虫だって「リンリ」と鳴く

第37回 複眼で成功した『おくりびと』

第36回 「笑っちゃう」ではすまない

第35回 語り継ぐ義挙

第34回 良い夢見ようよ

第33回 舌禍読禍宰相禍

第32回 冒頭の終わり


第31回 振り込め詐欺の真犯人

第30回 「老人力」のすすめ

第29回 僧徒たるを悔ゆる日

第28回 偶感「昭和二十年八月十五日」

第27回 仰げば恥ずかし わが師の陰

第26回 横綱の品格

第25回 『黄門さま』いずこ

第24回 戒めの16文字

第23回 百年目の「汚物教師」

第22回 怠慢の「12分」

第21回 物言いの一番

第20回 沖縄戦集団自決の真相究明に妥協は許されない

第19回 落ち葉して木々凛々と

第18回 『広辞苑』と私

第17回 子なき家

第16回 “軽老精神”

第15回 5W1Hプラスα

第14回 教育勅語から酌むべきもの

第13回 失われたニッポン人のDNAは再生出来るか

第12回 助けられたり助けたり

第11回 怯懦な共犯者

第10回 「最良のもの」探す日々

第9回 内角の和の中にをり石鼎忌

第8回 世直し先生は街角にいる

第7回 ある天文学者の遺言

第6回 壊れる家々の悲鳴

第5回 嗚呼!硫黄島−兵士たちの慟哭が聞こえる


第4回 よく聴けよ!柳沢大臣

第3回 無機質な社会の中で


第2回 義挙へのもどかしさ

第1回 ついの棲み家は姥捨山

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とかくこの世はははんほほう話


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肇道和尚の「如是我聞」

 新書大賞に輝いた『日本辺境論』(内田樹著・新潮新書)を読んで、なるほどと得心した。この本によれば、はるか昔から、日本人は自分の周りをそわそわきょろきょろ見回しながら生きてきた。一貫した主体性などありはしない。好いものを見つけたら、すぐに乗り換えてしまう。よその世界の変化に対応する変わり身の早さは伝統化している。それもこれも大文明の辺境諸民族の一つであると自己規定し、本当の文化はどこかほかのところで作られると思っているため……というのである。

 確かに、最近の政界を見ても、政治家たちが「そわそわ、きょろきょろ」する姿ばかりが目に付く。金権体質の自民党が退嬰的だと批判され、改革を掲げた民主党が期待を集めて実権を握ったまでは予想された展開ではあったが、民主党も頼りないと分かった途端、たちまち第三極探しに右往左往する。過日、亡くなった井上ひさし氏の名作『吉里吉里人』に藉口すれば、さしずめ“きょろきょろ人”である。

 困ったことに、第三極を目指す新党もしゃきっとしない。「たちあがれ日本」は立ち上がった国会議員5人衆の平均年齢が69・6歳と聞いただけで、腰が退けてしまう。ガチガチの保守の平沼赳夫氏とリベラル派の与謝野馨氏が手を結んだのも奇妙な話で、政界再編の要を担うとは到底思いがたい。参加を誘い誘われて、慌てふためく政治家たちの動きはぶざまだが、決断を促すインパクトに乏しい面は否めない。週刊誌は5人衆の3人が揃いも揃って居眠りでもしていたか、議場で目を閉じている写真を掲げ、「起き上がれ日本」と揶揄っている。かの与謝野晶子も草葉の陰から「君討死にし給ふことなかれ」と孫の行く末を案じているのではなかろうか。舛添要一前厚生労働相の新党も、氏特有のパフォーマンスの所産であろうし、参議院主体では迫力に乏しい。

 有権者の側も所詮は“きょろきょろ人”なのだから仕方がないが、各新聞社の世論調査では、新党として先発した「みんなの党」が唯一、前回の総選挙よりも得票率を大幅にアップさせると予測している。政治家も有権者も、1、2位が駄目になったら、建て直すよりも3位中心で行こう、と安直に考えてしまうのだから、“きょろきょろ人”の面目躍如といったところかもしれない。政治家の側も有権者のそうした性癖を知っていたればこそ、なおさら第三極探しに狂奔するのだろう。地方首長らによる新党立ち上げもあるが、どの新党が有権者の支持を集めるのか、既成政党とどのように連立していくのか、など興味のタネは尽きない。

 しかし、日本の現況ではとても政治家にきょろきょろしている余裕などはないはずだ。2010年度の通常予算は一般会計総額92兆円でありながら、歳入は37兆円にすぎない。44兆円分の国債を発行して穴埋めするというが、一般家庭で言えば、月収が37万円しかないのに、毎月92万円を使っているようなものだから、破綻するのは火を見るよりも明らかだ。現に、日本の公的債務は昨年末でGDP(国内総生産)の1・9倍、1069兆円に達している。国家として借金地獄に足を踏み入れてしまったといっても過言ではない。それなのに、財源の裏付けもないまま、公約だからと子ども手当を全額支給しようというのだから、とても正気の沙汰ではない。税制改正論議を向こう3年間封印するのも、打開策を放棄しているようなものだ。

 底を打ったといわれるものの不況からの脱出にはなお時間がかかりそうだし、普天間問題は暗礁に乗り上げて、日米関係はきしみ出している。訪米した鳩山由紀夫首相が現地のメディアに酷評されたのはご承知の通りだ。どこかの新聞で東大の山内昌之教授が「戦後史でも、現代ほど危機意識の乏しい国会議員が多い時期も珍しい」と嘆いていたが、まったく今の政治家は頼りない。

 日本は本当に沈没するのではないか。気が気でない。私たち戦前派は先の戦争で国が敗れる悲哀を味わい、戦後は辛酸を嘗めつつ、ささやかながら復興に貢献してきたつもりだ。それなのに、穏やかであるべき老境に入って再び存亡にかかわる国難に直面しようとは、世代としての悲哀を呪わずにはいられない。「たちあがれ日本」の命名者である石原慎太郎東京都知事は、ロートル批判に「(国を)憂いているのは我々年寄りばかりじゃないか」と反論していたが、戦前派には焦りや苛立ちが確かにある。老人パワーを侮ってもらっても困る。前回総選挙での投票率を見ると、若年層よりも高齢層の方がはるかに高い。25〜29歳の52%に対して65〜69歳は85%だ。投票行動と有権者数を勘案すれば、戦前派が第三極の命運を握っていると言っても過言ではあるまい。

 今こそ、不毛な人気取り競争にピリオドを打ち、老いも若きも国益のために小異を捨て、結集するときではないか。辺境人らしい「きょろきょろ」を逆手にとり、抜け目なく世界を見回して明日の日本の歩むべき道を見つけよう。その中核となるのが「1」でも「2」でも「3」でも構わないが、まずは多数派の「1」と「2」に奮起を促すのが筋だろう。「たちあがれ日本」の言うように「這えば立て、立てば歩けの親心」といった感覚で第三極が成長するのを見守っている余裕は、今の日本にはない。とりわけ戦前派は、孫をあやすのでもあるまいし、悠長に構えてはいられない。







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