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−庫裡から悶々−トップへ                                         (2010/02/14)
    第48回     国鉄由来の事故さばき
 
庫裡から悶々
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第52回 追憶のフィンガー・メロディー

第51回 “きょろきょろ人”

第50回 さあ大変!ハが抜けた

第49回 誰ぞ知る

第48回 国鉄由来の事故さばき

第47回 「○にする」

第46回 ゾロ薬品の普及を妨げるのは誰?

第45回 仏像展余話

第44回 “逆出家”老尼の有情無情

第43回 『K・Y』の政教一致

第42回 消えた檀家

第41回 臆病は隠蔽の母

第40回 撒き餌政治

第39回 串刺しルート

第38回 鈴虫だって「リンリ」と鳴く

第37回 複眼で成功した『おくりびと』

第36回 「笑っちゃう」ではすまない

第35回 語り継ぐ義挙

第34回 良い夢見ようよ

第33回 舌禍読禍宰相禍

第32回 冒頭の終わり


第31回 振り込め詐欺の真犯人

第30回 「老人力」のすすめ

第29回 僧徒たるを悔ゆる日

第28回 偶感「昭和二十年八月十五日」

第27回 仰げば恥ずかし わが師の陰

第26回 横綱の品格

第25回 『黄門さま』いずこ

第24回 戒めの16文字

第23回 百年目の「汚物教師」

第22回 怠慢の「12分」

第21回 物言いの一番

第20回 沖縄戦集団自決の真相究明に妥協は許されない

第19回 落ち葉して木々凛々と

第18回 『広辞苑』と私

第17回 子なき家

第16回 “軽老精神”

第15回 5W1Hプラスα

第14回 教育勅語から酌むべきもの

第13回 失われたニッポン人のDNAは再生出来るか

第12回 助けられたり助けたり

第11回 怯懦な共犯者

第10回 「最良のもの」探す日々

第9回 内角の和の中にをり石鼎忌

第8回 世直し先生は街角にいる

第7回 ある天文学者の遺言

第6回 壊れる家々の悲鳴

第5回 嗚呼!硫黄島−兵士たちの慟哭が聞こえる


第4回 よく聴けよ!柳沢大臣

第3回 無機質な社会の中で


第2回 義挙へのもどかしさ

第1回 ついの棲み家は姥捨山

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 カモン!ルーシー
とかくこの世はははんほほう話


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肇道和尚の「如是我聞」

 去る1月29日の午後、東海道新幹線が約3時間半にわたって不通になり、15万人が影響を蒙った停電事故の際、新富士駅で立ち往生した上り「ひかり516号」に乗り合わせた。一般の乗客にとっては、せっかくの花の金曜日に迷惑千万の事故だったろうが、かつての鉄道記者の筆者にとっては久しぶりに胸が高鳴る事故現場、千載一遇の好機となった。仕事柄、多くの事件、事故の現場を取材してきたが、自分が直接巻き込まれる経験は、意外に少ないものだからだ。

 この日は、大阪で開かれた宗門の勉強会に出席しての帰り道だった。名古屋を定時に通過したのを見定め、次が下車駅の小田原だと思っていたら、通過するはずの新富士駅の手前でいきなりブレーキがかかったから驚いた。車内の電光ニュースに「新横浜・小田原間の沿線火災で停電、消防団が出動して消火活動中です。しばらくお待ちください」というテロップが流れたのは、停車して間もない14時13分のことだった。沿線火災ならば、JRにとっては“もらい事故”。仕方がないな、とJRを気の毒にさえ思いながら復旧を待ったが、1時間たっても列車が動く気配がない。

 日中の一番乗客の少ない時間帯で、空席が目立っていたくらいだったから、乗客の気持ちにも余裕があったのか、特段苛立つ人も見当たらなかったが、元鉄道記者としては正確な状況を把握せずにはいられない。携帯電話を持っていることでもあり、必要があれば、古巣の新聞社に車内の様子を原稿にまとめて送稿したいとの思いもある。車掌長室の前に張り付いて、鉄道無線で伝えられる情報に耳を澄ました。

 ところが、この無線の内容は断片的で脈略がなく、筋の通らぬものばかりだった。燃えているのは線路脇の枯草であったり、はたまた架線であったり……。そのうちパンタグラフが故障して動けない、といった情報も飛び交い出した。無線の送信者は「列車指令」と言って、東京駅近くのビルにある総合司令室で新幹線全体の運行を管理しているエキスパートのはずだが、突然の事故にうろたえているのか、情報を整理しないまま垂れ流してくる。若い車掌は状況を把握できないのに乗客からは質問攻めに遭い、答えに窮して右往左往するばかりだ。

 やがて説明不足の情報をつなぎ合わせるうちに、どうやら真相が見えてきた。新幹線のパンタグラフが故障したため架線を切断してしまい、ショートした架線から飛び散った火花が線路脇の枯草に燃え移った――という顛末が伺えた。こうなると、“もらい事故”どころか、新幹線の保守管理に根ざすJR自身の落ち度による事故である。

 「変わっていないな」。鉄道記者だった当時の国鉄の体質を思い起こし、つい苦笑してしまった。「事故を○(まる)にする」というのが常套句で、軽微な事故は○=良いことにして隠蔽してしまう。隠しおおせない事故は、できる限り他人のせいにして責任逃れを図る。バレなければ、平気でウソもつく。それが国鉄の悪弊だったが、確かな事情も分からぬうちから「沿線火災」と言い出したあたりは、今も体質は変わっていないということだろう。職員が統率された動きができないのも国鉄時代の名残りだと思われた。

 皮肉なことに、その日の大阪の勉強会では、国鉄の分割民営化後の評価が取りざたされていた。会の冒頭の来賓の挨拶で、その来賓は不見識にも、やればできる、という事例にJRを引き合いにして、「国鉄はダメだったが、JRになってから良くなった」と誉めちぎっていたのである。

 4時間近く遅れてたどり着いた小田原駅では、遅延払い戻しの手続きのための長蛇の列ができ、満足な案内表示を欠いていたために乗客と駅員が激しく衝突する場面も見られた。迷惑をかけた乗客にも木で鼻をくくったような対応をする駅員の傲慢な態度。親方日の丸だった昔の国鉄と何も変わっていなかった。

 後日、JRが明らかにしたところによれば、停電の原因はパンタグラフの取り付け用ボルトの締め忘れだったという。実は新幹線は技術的には十分に時速350`超で営業運転できるのだが、騒音対策が追いつかないため、320`運転に甘んじている。最大の騒音源はパンタグラフの風切り音であるため、新幹線のスピードアップはパンタグラフの改良次第といわれ、小型化、軽量化が進められてきた。今では最新のN700系では16両編成の列車に2機のパンタグラフしか搭載していない。しかも、頑丈そうな井桁型ではなく、「く」の字型の華奢なものだ。事故の後、鉄道通の友人とパンタグラフの構造欠陥があったのではないか、と話し合っていたのだが、まさかボルトの締め忘れだったとは。あまりのお粗末さに呆れるばかりだが、ひょっとすると事故の背後にはもう一つ真実が隠されているのかもしれない。それが国鉄時代からの伝ではある。







和尚が聞く!‐NYOZEGAMON INTERVIEW‐

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