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−庫裡から悶々−トップへ                                         (2008/11/30)
    第33回   舌禍読禍宰相禍
 
庫裡から悶々
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第35回 語り継ぐ義挙

第34回 良い夢見ようよ

第33回 舌禍読禍宰相禍

第32回 冒頭の終わり


第31回 振り込め詐欺の真犯人

第30回 「老人力」のすすめ

第29回 僧徒たるを悔ゆる日

第28回 偶感「昭和二十年八月十五日」

第27回 仰げば恥ずかし わが師の陰

第26回 横綱の品格

第25回 『黄門さま』いずこ

第24回 戒めの16文字

第23回 百年目の「汚物教師」

第22回 怠慢の「12分」

第21回 物言いの一番

第20回 沖縄戦集団自決の真相究明に妥協は許されない

第19回 落ち葉して木々凛々と

第18回 『広辞苑』と私

第17回 子なき家

第16回 “軽老精神”

第15回 5W1Hプラスα

第14回 教育勅語から酌むべきもの

第13回 失われたニッポン人のDNAは再生出来るか

第12回 助けられたり助けたり

第11回 怯懦な共犯者

第10回 「最良のもの」探す日々

第9回 内角の和の中にをり石鼎忌

第8回 世直し先生は街角にいる

第7回 ある天文学者の遺言

第6回 壊れる家々の悲鳴

第5回 嗚呼!硫黄島−兵士たちの慟哭が聞こえる


第4回 よく聴けよ!柳沢大臣

第3回 無機質な社会の中で


第2回 義挙へのもどかしさ

第1回 ついの棲み家は姥捨山

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 カモン!ルーシー
とかくこの世はははんほほう話


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肇道和尚の「如是我聞」

 「猫、馬鹿、坊主、医者、先生」。さる古刹の和尚が曰(のた)もうた。彼らはやたらと高い処がお好き、要は世間知らずという意味だ。
 言い得て妙、と感心したものだったが、最近は一国の宰相までが仲間入りしたらしい。

 11月19日、官邸で開かれた全国知事会議の席上、麻生太郎首相は医師不足対策を問われると、こう言ってのけた。
 「医者には社会的常識がかなり欠落した人が多い。自分も病院を経営して、何百人も扱っていたからよく分かる」
 首相の実弟が社長を務める「麻生」(旧麻生セメント)は傘下に病院を抱えており、首相も同社の元社長だったのだから医者には苦労させられたとの思いがあるのだろう。日本医師会が自民党にとって大切な集票組織であることなどすっかり忘れたかのように、舌はぺらぺらと回り、本音がぽんぽん飛び出した。
 「医者不足の責任は、お医者さん側にあるのではないか、さんざん“減らせ減らせ、多すぎる”といっていたのは、どなたでしたか」

 ここまで言われては、医師会が怒るまいことか。日本医師会は直ちに公式に抗議した。さすがの首相もまずいと気づいたか、陳謝したが、その釈明は「まともなお医者さんが不快な思いをしたというなら申し訳ありません」と自説に未練を残したかのような物言いだった。
 さらに、さらに。その舌の根も乾かない数時間後、今度は経済財政諮問会議の席上で、健康保険を利用する患者をやり玉に上げる妄言が飛び出した。
 「たらたら飲んで、食って、何もしない(患者の医療費を)何で私が払わなければならないんだ」

 好き好んで病気になる人はいない。それぞれに悲しみ嘆きつつ病苦と闘っている。原因不明の難病の床に臥した人もいる。政府が病魔をもたらした薬害の患者や公害病の患者が多数いることを忘れたか。新聞・テレビは「相互扶助という保険の精神をわきまえぬ不勉強な首相」といった批判を浴びせたが、保険の仕組み以前に弱い立場の人にこそ手を差しのべるのが政治の本質だということが分かっていない。こうなると政治家の資質というより、人の優しさの問題ではないか。

 しゃべってボロボロ、読んでポロポロ。軽率では片付けられない。未曾有(みぞう)をミゾユウ、頻繁(ひんぱん)がハンザツ、踏襲(とうしゅう)がフシュウというのでは、パソコンの文字転換機能も音を上げる。経済対策を当面する重要課題に挙げて解散総選挙を先送りしているお方が、実体経済をジツブツケイザイといったり、株式市場の前場(ぜんば)をマエバと読むのだから、この人で不況対策は出来るのだろうかと不安にもなる。

 小泉以後の安倍、福田と二代続いた「短命無策の坊ちゃん内閣」。三代目もこの調子では「日本よ、どこへ行く」。「売国と唐様で書く三代目」にだけはなってほしくない、と切に祈るばかりだ。

          ◇        ◇        ◇

 医療の混乱が続く折柄、付け加えておきたいことがある。
 1961(昭和36)年に執行された国民皆保険制度には、正負両面があり、医療が身近な存在になった半面、「医は仁術」を忘れた医師を増やしてしまった。
 当時私は、新聞社の千葉支局に勤務する遊軍記者だった。千葉大医学部を日々の取材対象としていたから、第一外科教授で国立千葉病院長を兼務していた鈴木五郎氏のもとに通ってレクチャを受ける機会が多かった。鈴木教授は皆保険の将来について「運用を誤ると、せっかくの制度も破綻を招く」と、戦後のベビーブーム世代が成長したときの医療施策に言及されていた。団塊の世代を見据えた教授の慧眼はさすがだった。
 果たせるかな。やがて乱診乱療が始まったから、医者不足現象が現れた。
 田中角栄首相当時の1975年には医者が足りないからと一県一医大構想が実現したが、1984年になると逆に医師過剰と医療費抑制を口実に、医学部定員の削減が打ち出された。
 そして今はまた、深刻な医師不足と高齢者対策で健康保険制度は破綻寸前だ。公立病院の相次ぐ閉鎖や死に至る救急患者の搬送たらい回し事故が日常化している。その都度、医師側の身勝手か、厚労省の怠慢かと問題になっているが、その元はといえば長期展望を欠き、その場任せにしてきた貧困な医療行政にある。諸悪の根源は政治にある。










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