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−庫裡から悶々−トップへ                                         (2008/10/01)
    第31回   振り込め詐欺の真犯人
 
庫裡から悶々
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第35回 語り継ぐ義挙

第34回 良い夢見ようよ

第33回 舌禍読禍宰相禍

第32回 冒頭の終わり

第31回 振り込め詐欺の真犯人

第30回 「老人力」のすすめ

第29回 僧徒たるを悔ゆる日

第28回 偶感「昭和二十年八月十五日」

第27回 仰げば恥ずかし わが師の陰

第26回 横綱の品格

第25回 『黄門さま』いずこ

第24回 戒めの16文字

第23回 百年目の「汚物教師」

第22回 怠慢の「12分」

第21回 物言いの一番

第20回 沖縄戦集団自決の真相究明に妥協は許されない

第19回 落ち葉して木々凛々と

第18回 『広辞苑』と私

第17回 子なき家

第16回 “軽老精神”

第15回 5W1Hプラスα

第14回 教育勅語から酌むべきもの

第13回 失われたニッポン人のDNAは再生出来るか

第12回 助けられたり助けたり

第11回 怯懦な共犯者

第10回 「最良のもの」探す日々

第9回 内角の和の中にをり石鼎忌

第8回 世直し先生は街角にいる

第7回 ある天文学者の遺言

第6回 壊れる家々の悲鳴

第5回 嗚呼!硫黄島−兵士たちの慟哭が聞こえる


第4回 よく聴けよ!柳沢大臣

第3回 無機質な社会の中で


第2回 義挙へのもどかしさ

第1回 ついの棲み家は姥捨山

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とかくこの世はははんほほう話


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肇道和尚の「如是我聞」

 「うちにも来たのヨ」。行きつけの喫茶店のママが、急き込むように話し出した。
 「夕べ閉店間際に“息子”から電話があって、携帯電話の番号が変わったから知らせておく、っていうの」

 その翌日、また“息子”から電話があった。
 「交通事故に巻き込まれて、他人をケガさせちゃった。示談でいいというから、助かったけど、今日中に三十万円払えばの話。至急、頼むよ。お願い」
 そそっかしい息子のこと、また仕出かしたかと早合点して「どこへ払えばいいの?」と応じた。一瞬声がおかしいと気づき、「どうかしたの」と尋ねると、すかさず“息子”は「風邪引いちゃったんだ」。
 他人様にケガさせて、そのくらいの金額で済んでよかったと、ホッとしながらも、そんなとき一くさりお説教をするのが母親というものだ。「ウン、ウン」と殊勝に聞いていた息子の一言に引っ掛かった。
 「母さん、ありがとう」「おや、変なこと言うね。いつもはお袋って呼んでるくせに」。“息子”は一呼吸置いて答えた。「そう来ると思った。今日は特別なんだ。無理な願いをきいてくれたんだから」

 この問答で、ママはすべてを悟ると、冷たく言い放った。
 「忙しくって、時間までには振り込めないわ。取りに来なさい」

 “息子”は案の定、現れなかった。
 難を逃れたというのに、ママの表情は浮かなかった。オレオレ詐欺や振り込め詐欺に引っ掛かるなんてトンマな親もいるもんだと思っていたら、見事に私も引っ掛かるところだった。わが子の一大事と思うと、疑う前にオロオロしちゃって、子どもの名前をこっちから呼んでしまったり。変だ、変だとは思いながらも相手のペースに巻き込まれている。それにしても、相手は相当な訓練を受けたのか、手練手管にたけている。老人でなくても、つい乗ってしまう……。


 警察庁によれば、今年上半期の振り込め詐欺被害の総額は実に137億4481万円。年間で過去最悪だった04年の284億円に迫るペースだ。
 警察に届け出のあった件数は9874件だが、検挙はわずか1%強の1053件に過ぎない。

 先日、墓参りに来た母娘に喫茶店のママの話をしたら、親子で顔を見合わせながら「私たちも危うく引っ掛かるところだったんですよ」と言うので驚いた。
 母親の元に掛かってきたのは、「息子さんが交通事故を起こした」という電話。「息子は海外出張中ですが、どこで」と言ったとたん、ガシャンと電話は切れた。
 それから間もなく、今度は娘さんの家にも同じような手口の電話が。おいでなすったと、娘さんは「まだ、大使館から何の連絡もありませんが、何処で事故を起こしたんでしょう」ととぼけてみせると、ガシャン。

 身近な人だけで3件もの未遂事件があったくらいだから、振り込め詐欺の魔の仕掛け電話は、未届けを含めれば膨大な件数になるはずだ。
 オレオレに始まって振り込め、還付金狙いと、手口は巧妙化している。ひょっとしたら、今も騙されたことに気づいていない被害者もいるのではないか。

 警察庁は対策室を設置、10月を取り締まり強化月間として、全国の金融機関のATM周辺に警官を配置して注意を呼び掛けるなど空前の警戒体制をとるそうだ。


 冷静に対処すれば騙されるはずのない、この種の詐欺がはびこるのはなぜか。核家族化や家族制度の崩壊を背景に、親子の間柄が疎遠になっているせいではないか。
 希薄になるばかりの親子の絆。一度、親元を離れたら、子どもたちは存在を忘れたかのように、親の暮らしを顧みようとしない。父母の安否を気遣って電話さえめったにしない。「便りの無いのが達者な証拠」などと強がっていても、年とった親たちは寂しがっているというのに。

 子どもが頻繁に見舞っていればオレオレ詐欺にも引っ掛からずに済むだろう。わが子の声を忘れかけているから、詐欺師のわなにはまってしまう。
 高齢社会白書によれば、アメリカでは親と別居している子どもの85%が月に1度以上、親元を訪ねたり、電話をかけているのに、日本人は40%に過ぎないという。

 親が振り込め詐欺の被害に遭ったら、その責任は子どものあなたにもある、と思いなさい。









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