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−庫裡から悶々−トップへ                                         (2008/09/08)
   第29回  僧徒たるを悔ゆる日
 
庫裡から悶々
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第35回 語り継ぐ義挙

第34回 良い夢見ようよ

第33回 舌禍読禍宰相禍

第32回 冒頭の終わり

第31回 振り込め詐欺の真犯人

第30回 「老人力」のすすめ

第29回 僧徒たるを悔ゆる日

第28回 偶感「昭和二十年八月十五日」

第27回 仰げば恥ずかし わが師の陰

第26回 横綱の品格

第25回 『黄門さま』いずこ

第24回 戒めの16文字

第23回 百年目の「汚物教師」

第22回 怠慢の「12分」

第21回 物言いの一番

第20回 沖縄戦集団自決の真相究明に妥協は許されない

第19回 落ち葉して木々凛々と

第18回 『広辞苑』と私

第17回 子なき家

第16回 “軽老精神”

第15回 5W1Hプラスα

第14回 教育勅語から酌むべきもの

第13回 失われたニッポン人のDNAは再生出来るか

第12回 助けられたり助けたり

第11回 怯懦な共犯者

第10回 「最良のもの」探す日々

第9回 内角の和の中にをり石鼎忌

第8回 世直し先生は街角にいる

第7回 ある天文学者の遺言

第6回 壊れる家々の悲鳴

第5回 嗚呼!硫黄島−兵士たちの慟哭が聞こえる


第4回 よく聴けよ!柳沢大臣

第3回 無機質な社会の中で


第2回 義挙へのもどかしさ

第1回 ついの棲み家は姥捨山

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 カモン!ルーシー
とかくこの世はははんほほう話


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 檀林風発 
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肇道和尚の「如是我聞」

 今は大手新聞社の花形記者A君は、学生時代に法律事務所でアルバイトをしていた。
 債権の取り立て先で、奥さんが卒倒してしまった。事の次第に驚いたのか、症状の急変かは定かでない。医者だ、救急車だと家中は大騒ぎとなった。
 A君は、とっさに掛かり付けの病院を聞き出し、独断で車を手配した。

 あとで、この判断は当事者双方から感謝された。救急車が駆けつけていたら、事が表沙汰になる。患者が死なないまでも、取り立てが厳しかったからだ、と債権者側は悪者扱いされて非難を浴びただろう。債務者にしても「あの人が借金? 人は見かけによらない」と世間に恥を晒す結果になっただろう。
 A君の機転の判断が、双方のプライバシーを守ったのだ。が、昨今は隠しおおしようのない借金地獄にまつわる悲話が尽きない。


 衝撃的だったのは数年前、大阪・八尾市内のJR関西線路上にうずくまって、電車にはねられて死亡した清掃作業員一家三人の心中事件である。
 自宅には四通の遺書が残されていた。その一通には
 「ヤミ金融業者に金を借りたが、いくら返しても完済にしてくれない。こんな悪徳業者のために死ぬのは悔しい」と。追い詰められた心境が哀れだ。

 最初、五万円借りたのだが、利子を天引きされて、手にした金は半分の二万五千円。それから、1ヵ月余りの間に十万円を支払ったが、残額はなくならなかった。その間、督促の電話口では脅迫的な言葉の連発だった。

 ヤミ金融業者の手口は、支払えないと知ると、仲間の他の業者を斡旋する。そのときの申し送り金額には、ヤミ高利が加算されている。始めに借りた金の十数倍もの借用証文となることもあるから、五万円のはずが半年も経つと百万円にもなってしまう。だから、世間では彼らをヤミ金業者と呼ぶ。だが、彼らにいわせれば、れっきとした登録業者なのだ。
 役所に登録料さえ払えば、安直に開業できるところが、彼らの狙い目だ。ヤミ金融に手を出せば、アリ地獄に落ちたも同然なのである。むろん法定金利以上の高利貸しは違法だが、借り手側には、違法を承知で借りざるを得ない事情もある。無知だ、愚かだとなじるだけでは解決しない。


 いったいどこが豊かな国なのだろう。街を歩けば至る所でシャッター通りに行き当たる。閉店、倒産が後を絶たないからだ。物価は騰がりっぱなしなのに、都市銀行と庶民との仲はますます縁遠くなる。株価も下落してしがない投資家は青息吐息。その狭間には深刻な老人問題や年金課題も介在する。暮らしの不安が募る中、「金に恨み」の話題は尽きない。

 年金自殺者がここ10年間連続して3万人を超えている。しかも増加傾向にある。2004年〜06年間は3万2千人台で推移していたが、昨年は3万3千人超と三千人台へと増加している(いずれも警察庁統計)。職業別では無職者が半数を占めているのだから不況、生活苦など政治の貧困が投影されている。

 オリンピックも一時の狂騒が終わってしまえば、はかない夢の追想に虚しさだけが広がる。ああ、夢のない日々の恨めしさよ。


 こんな時代だからこそ、心の癒しが求められていることは重々承知している。宗教の出番ではないか、と痛感する。だが、無為無策の己が身。なんとも歯がゆくてならない。









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