−テラリスト宣言−ホームへ
ニュース&トピックス城源寺へようこそテラリストとは?城源寺に集え!紅さんの講談教室!リンク(準備中です)
読者投稿住職によるコラムなど檀家さん専用(準備中です)
Home

−庫裡から悶々−トップへ  第27回                                       (2008/08/04)
   仰げば恥ずかし わが師の陰(おん)
 
庫裡から悶々
Top
第35回 語り継ぐ義挙

第34回 良い夢見ようよ

第33回 舌禍読禍宰相禍

第32回 冒頭の終わり

第31回 振り込め詐欺の真犯人

第30回 「老人力」のすすめ

第29回 僧徒たるを悔ゆる日

第28回 偶感「昭和二十年八月十五日」

第27回 仰げば恥ずかし わが師の陰

第26回 横綱の品格

第25回 『黄門さま』いずこ

第24回 戒めの16文字

第23回 百年目の「汚物教師」

第22回 怠慢の「12分」

第21回 物言いの一番

第20回 沖縄戦集団自決の真相究明に妥協は許されない

第19回 落ち葉して木々凛々と

第18回 『広辞苑』と私

第17回 子なき家

第16回 “軽老精神”

第15回 5W1Hプラスα

第14回 教育勅語から酌むべきもの

第13回 失われたニッポン人のDNAは再生出来るか

第12回 助けられたり助けたり

第11回 怯懦な共犯者

第10回 「最良のもの」探す日々

第9回 内角の和の中にをり石鼎忌

第8回 世直し先生は街角にいる

第7回 ある天文学者の遺言

第6回 壊れる家々の悲鳴

第5回 嗚呼!硫黄島−兵士たちの慟哭が聞こえる


第4回 よく聴けよ!柳沢大臣

第3回 無機質な社会の中で


第2回 義挙へのもどかしさ

第1回 ついの棲み家は姥捨山

バックナンバー一覧


 カモン!ルーシー
とかくこの世はははんほほう話


感想等はこちらからお送りください
   メールフォーム

 檀林風発 
↑読者投稿欄


肇道和尚の「如是我聞」

 食材偽装に産地偽装、賞味期限の偽装。偽装と云えば「またか」と応える昨今だが、人の道を教える先生までが偽装手段で教員免許を手に入れていたのだから、今度ばかりは絶対許せません。


 大分県で発覚した小学校教職員採用試験をめぐる贈収賄事件では、41人を採用する試験で40人までも“裏口”で合格させていたのだから、開いた口がふさがらない。
 高校や大学の裏口入学やスポーツ推薦入学でテストの得点に下駄を履かせる、とは聞いていたが、合格点圏内の優秀な受験者の得点を削って、出来損ないの子供を合格させるなんて前代未聞だろう。そう思っていたら宗教界の業界紙『中外日報』が、こんな話を伝えていた。

 (戦前の話だが)夏は氷、冬は木炭を売る店の息子は優等生だったから、親が期待を掛けて旧制高校を受験させた。が、結果は不合格だった。氷屋親子は高校へ抗議した。
 「これこれの正解を書いた筈。不合格とは納得できない」。
高校側は「確かに答案は良かった。だが、中学校の内申書の成績は極端に悪い」。
 調べた結果、出身中学の教師が、有力者の息子と氷屋の息子の成績を差し替えた内申書を作成していたことが分かった。
 この一件、氷屋の息子は別の大学にトップ合格し、表沙汰にはならなかったが、噂は町中に広まった。受験生を持つ母親たちは「氷屋の息子さんのようにいつも自信のある答案を書きなさい」とわが子に言い聞かせていたそうだ。


 不正合格、情実採用はどこにもあり、いつの時代にも行われていただろう。だから、この問題に関しての各都道府県教委の対応は鈍い。教員採用試験をめぐる文科省の調査にも、64都道府県・政令都市教育委員会は「不正はなかった」と、口をそろえてはいる。もっとも採用システムの点検に止まったり、採用試験に係わった一部の職員の聞き取り程度でお茶を濁している。選考結果と筆記試験の答案などの元データと照合しなかった教委が27もあったのだから「容疑は晴れた」とは言い切れない。

 賄賂の額もまた桁外れだ。息子と娘を教師にするために400万円も教育委員会の実力者に渡していた女性校長がいたのだから、犯罪経済学の理屈からいえば「先生って儲かる職業」なのだ。

 一連の対策を協議した大分県の臨時教育委員会で前委員長だった61歳の委員(元県立高校長)の発言にも驚いた。
 「県教委のOBがさも他人事のようにベラベラ事件についてしゃべっているのが腹立たしい。公務員の守秘義務は辞めた後も生きているのだ」。
 自分が委員長在任中の事件が摘発され、批判されているという自覚などないのだろうか。

 教育委員会はエリート教師のポストである。贈賄側も収賄側もその役職にあった人々だ。そんな先生から「悪いことをしてはいけません」「ウソをついては駄目です」と諭されても、子どもたちが聞く耳を持つ筈はない。「教師は聖職」なんてとんでもない。


 筆者も新聞記者になる前の一時期、教壇に立ったことがある。当時の流行語に「デモシカ先生」があった。
 獅子文六の小説『てんやわんや』に登場した言葉で、当時は戦後間もないころで教師が不足していたから、志望すれば誰でもなれた。「先生にデモなるか」「先生にシカなれなかった」という資質の低い輩への軽視的表現だった。日教組活動が活発化すると「デモしかしない先生」の代名詞ともなった。どちらも教育現場の荒廃が顕著化した時代であった。
 昔の中等学校(中学)しか出ないで、縁故採用されて教職に就いた後、国立大教育学部で半年研修をうけて復職し「大卒」を名乗っている先生など、まだ可愛い方だ。

 今回の汚職事件も、そんなデモシカ遺伝子のいたずらなのだろうか。

 そういえば、卒業式で『仰げは尊し』を歌わなくなって久しい。自らを尊敬に値しないと自覚している教師たちが、さすがに恥ずかしくて歌わせないように指導しているせいだろうか。あるいは敏感な子どもたちが歌う気をなくしたからなのだろうか。

 東京都の教育委員である脚本家の内館牧子さんが「都の教育委員六人の中には教育学の専門家が一人もいない」と指摘した記事が『週刊朝日』に掲載されていた。前出の『中外日報』の記者がこれを読んで「内館さんは、こんな素人集団に教育を任せていいのか、と嘆いているのだ」と論評している。

 が、同紙は、門外漢の立場で、専門家だけの判断を監視する「レイマンコントロール」というシステムがあることを紹介しながら、大分教委の場合は「レイマンコントロール」の作動が停止していたから汚職の温床となってしまったのではなかろうかという。

 恐ろしいのは、同じ穴のムジナ集団である。



『仰げば尊し』1884(明治17)年の小学唱歌集に載せられた歌。歌詞は次の通り。

  1.仰げば尊し 我が師の恩  教えの庭にも はや幾年
   思えばいと疾(と)し このとし月  今こそ別れめ いざさらば

  2.互いに睦し 日ごろの恩  別るる後にも やよ忘るな
   身を立て名をあげ やよ励めよ  今こそ別れめ いざさらば

  3.朝夕なれにし 学びの窓  蛍のともし火 積む白雪
   忘るるまぞなき ゆくとし月  今こそ別れめ いざさらば






Copyright © 2007 JOUGENJI All Rights Reserved.
−テラリスト宣言−小田原 城源寺のホームページです。