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−庫裡から悶々−トップへ (2008/04/13)
     第24回   戒めの16文字
庫裡から悶々
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第35回 語り継ぐ義挙

第34回 良い夢見ようよ

第33回 舌禍読禍宰相禍

第32回 冒頭の終わり

第31回 振り込め詐欺の真犯人

第30回 「老人力」のすすめ

第29回 僧徒たるを悔ゆる日

第28回 偶感「昭和二十年八月十五日」

第27回 仰げば恥ずかし わが師の陰

第26回 横綱の品格

第25回 『黄門さま』いずこ

第24回 戒めの16文字

第23回 百年目の「汚物教師」

第22回 怠慢の「12分」

第21回 物言いの一番

第20回 沖縄戦集団自決の真相究明に妥協は許されない

第19回 落ち葉して木々凛々と

第18回 『広辞苑』と私

第17回 子なき家

第16回 “軽老精神”

第15回 5W1Hプラスα

第14回 教育勅語から酌むべきもの

第13回 失われたニッポン人のDNAは再生出来るか

第12回 助けられたり助けたり

第11回 怯懦な共犯者

第10回 「最良のもの」探す日々

第9回 内角の和の中にをり石鼎忌

第8回 世直し先生は街角にいる

第7回 ある天文学者の遺言

第6回 壊れる家々の悲鳴

第5回 嗚呼!硫黄島−兵士たちの慟哭が聞こえる


第4回 よく聴けよ!柳沢大臣

第3回 無機質な社会の中で


第2回 義挙へのもどかしさ

第1回 ついの棲み家は姥捨山

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 カモン!ルーシー
とかくこの世はははんほほう話


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 檀林風発 
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肇道和尚の「如是我聞」

 あでやかな菊人形で知られる福島県二本松市は、江戸時代、丹羽氏10万700石の城下町だった。公園になっている城址にたたずむ国指定史跡の『戒石銘』が、二本松藩士の心意気を今に伝えている。

 爾俸爾禄 民膏民脂 下民易虐 上天難欺
 (なんじの俸、なんじの禄は 民の膏、民の脂なり 下民は虐げ易きも 上天は欺き難し)
 お前がお上から戴く俸禄(給料)は、人民の汗と脂の結晶である。下々は虐げ易いけれど、神をあざむくことはできない。(だから、人民への感謝の念を忘れて下々を苛めたりすると、きっと天罰が下るぞ)

 二本松藩は、織田信長の宿老だった丹羽長秀を家祖とした東北の雄藩であった。5代目藩主丹羽高寛が、藩儒学者の進言を容れ、藩士の戒めとするために、藩庁通用門脇に据えた碑が『戒石銘』だ。
 刻まれた文言は中国・北宋時代の君主・太宗が官吏の心得を誌した「戒諭辞」に由来する。

 登城する藩士たちは、道すがら碑銘に刺激され、襟を正して執務に当たり、士風を奮い立たせたに違いない。
 戊辰戦争で幕府軍の一翼を担った二本松藩は「奥羽越列藩同盟」の一員として、薩長の「新政府軍」と戦った。わずか14、5歳の藩の子弟たちまでが、自ら少年隊を結成、士道に殉じたのも『戒石銘』の余香のなせるわざだろう。


 16文字の威光を現代によみがえらせることはできないものか。いまほど、行政の乱脈が露見したことはないからだ。宙に浮いた年金記録5千万件の処理が遅々として進まない。道路財源をタクシー代やカラオケ器具代に使用してはばからない。役人や議員の公私混同は目に余るものがある。
 公務員による、汚職や不祥事が日常茶飯事になってしまったのだ。ナニが彼らをかくまで堕落させてしまったのか。

 わたしが新聞記者になった昭和27年頃の役所には「民衆処遇」に配慮する文書や「公僕」の文字が随所に見られた。戦後導入された民主主義の実践はまず公務員から。役人は「国民に奉仕する」姿勢を忘れてはならないとの、自覚が求められ、そのための努力もなされていたことを思えば「アノ心構え、どこに置き忘れちゃったの」と尋ねたい。

 行政法の専門家の間で語り継がれている「無謬(むびゅう)」神話をご存知だろうか。これだけ不行状が繰り返されていても、なお、役人のすることには間違いはない、と言い張る。役人自らを権威づける自負心のなせるわざでもあるが、根底には「お上は常に正しい」との思い上がった意識がある。下々もまた、そう思い込まされてきた面がある。もっとも決して公務員が過ちを犯さないということでもないらしい。過ちを犯しても、責任を追及されることはない、いや、されてはならないとの意味も含んでいるというから、とんでもない話ではある。

 行政の政策決定のプロセスでは、公務員個人の責任が明記されることはなく、国家賠償請求訴訟などでも、公務員が個人的に賠償を求められることはない。行政について公務員個人の刑事責任を問われることもない。
 2〜3年毎にくるくると人事異動があるため、責任の所在が不明確なこともあるが、C型肝炎や薬害エイズなどの薬害が繰り返されてきたのも、厚労省の役人が匿名性の影に隠れて無責任な仕事を続けてきたせいだ。
 宙に浮いた年金記録問題の根もこの辺にある。役人がかぶっている匿名性という仮面をはぎとらない限り、行政の健全化は望むべくもない。

 いまごろというか、遅ればせながらも、公務員制度の改革が検討されだし、安倍、福田と2代続いた首相の私的懇談会も設けられ、報告書が描かれたようだ。が、役人社会と政治屋業界のそれぞれの利権に凝り固まった輪廻の世界が、一片の泥縄的法案でそう簡単に解消できるとは思われない。ましてや“お役人大好き”の福田さんが、本気で改革に取り組めるとも思いがたい。

 まずは、国会に『戒石銘』を据え、じっくりと来し方を振り返ってから世直しを考えてみてはどうだろうか。









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