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−庫裡から悶々−トップへ (2008/03/15)
     第23回  百年目の汚物(ウンラート)教師
庫裡から悶々
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第35回 語り継ぐ義挙

第34回 良い夢見ようよ

第33回 舌禍読禍宰相禍

第32回 冒頭の終わり

第31回 振り込め詐欺の真犯人

第30回 「老人力」のすすめ

第29回 僧徒たるを悔ゆる日

第28回 偶感「昭和二十年八月十五日」

第27回 仰げば恥ずかし わが師の陰

第26回 横綱の品格

第25回 『黄門さま』いずこ

第24回 戒めの16文字

第23回 百年目の「汚物教師」

第22回 怠慢の「12分」

第21回 物言いの一番

第20回 沖縄戦集団自決の真相究明に妥協は許されない

第19回 落ち葉して木々凛々と

第18回 『広辞苑』と私

第17回 子なき家

第16回 “軽老精神”

第15回 5W1Hプラスα

第14回 教育勅語から酌むべきもの

第13回 失われたニッポン人のDNAは再生出来るか

第12回 助けられたり助けたり

第11回 怯懦な共犯者

第10回 「最良のもの」探す日々

第9回 内角の和の中にをり石鼎忌

第8回 世直し先生は街角にいる

第7回 ある天文学者の遺言

第6回 壊れる家々の悲鳴

第5回 嗚呼!硫黄島−兵士たちの慟哭が聞こえる


第4回 よく聴けよ!柳沢大臣

第3回 無機質な社会の中で


第2回 義挙へのもどかしさ

第1回 ついの棲み家は姥捨山

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 カモン!ルーシー
とかくこの世はははんほほう話


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 檀林風発 
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肇道和尚の「如是我聞」

 実直で堅物なその初老教師を、学生たちは「ウンラート教授」のあだ名で呼びながらも、畏怖と敬意を寄せていた。ウンラートとはドイツ語で「汚物」である。
 そんな老教師が、あろうことか裏町の安キャバレーで見かけた踊り子に一目惚れした。女と逢瀬を重ねるうちに、教壇の権威を忘れた教授は堕落の一途を辿りながら、破滅的な愛を彼女1人に注ぐようになってしまった。

 20世紀初期のドイツの作家、ハインリヒ・マンの『汚物(ウンラート)教授』は、ファシズム到来を先取りした社会風刺小説として、ドイツ語圏内では今も多くの読者を持っている(長崎外語大・今井敦氏)という。この小説の映画化が『嘆きの天使』(1930/独)で、時代はサイレント映画からトーキー映画への転換期。ドイツ初のトーキーであるとともに、主演のエミール・ヤニングスは、創設されたばかりのアカデミー賞の第1回主演男優賞の受賞者としても知られる。共演の踊り子役のマレーネ・ディートリッヒも、この映画のために発掘された新人女優ながら、ゾクッとするようなセクシーな歌声と曲線美で一躍、世界に名を馳せた。
 ぽっちゃりしていて、安っぽい振り付けで作り笑いを投げかける田舎娘が、男の愛を満喫するころには、もはや田舎娘の面影はなく、男を冷たく突き放して“男を狂わす女”に変身している。ラストシーンでは、人生を狂わされて発狂した老教師が踊り子の首を絞める。


 時移り、所も変わって21世紀の日本では――。

 熱血教師がいた。「夢を持とうよ」と教え子たちに呼びかけ、スポーツに秀でた生徒を評価する新入試制度を提案したり、大学受験対策にも熱心だった。教育改革の推進者として地元教育界の評判は抜群だった。電車内で痴漢を働いた男を取り押さえたこともあった。
 公立高校の教頭、校長と順調に出世コースを歩んだから、教師の周りにはいつも教え子たちがいた。女生徒たちにとって先生は憧れの人。校長さんも、声を掛けたり、仕事を頼んだりして生徒を有頂天にさせる術も心得ていたようだ。

 校長室での女生徒との秘め事は彼女の卒業後も続いたが、5年目の昨年3月、「好きな人ができたの」と別れ話が持ち出されてからというもの、かつての熱血教師はかの“汚物教師”と二重写しの人格を演ずるようになった。
 校長室のパソコンから彼女の携帯電話に宛てて「何があっても知らないよ」「人を殺すことは平気だよ」と脅迫メールを送り続けていたのだ。

 深刻な事態を知って心配した元教え子の家族から警察に告発され逮捕されたのが、これまた、こともあろうに卒業式当日。
 昼間は胸を張って卒業式に臨み「夢を持ち、実現に向かって努力しよう。社会に貢献する人間になれよ」と卒業生に贈る校長訓示を垂れたが、夜は脅迫被疑者として逮捕状を執行されて警察の留置場へ。


 いま、教育界に人格異常続出と取り沙汰されているが、彼こそまさに、百年目の「ウンラート教師」というべきだろう。
 このニュースを取り上げた読売新聞コラム子は、平安時代の知性の人で賢人右府と評された藤原実資が、門前を通る女性を屋敷内に拉致しようとして、目撃者から「賢人の振る舞いか」と非難されると「女事に賢人なし」と言い捨てて門内に消えた、という故事を紹介している。こと色事に関しては時代も教養もないのかもしれない。

 それにしても聖職いずこ。嘆かわしい限りである。









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