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−庫裡から悶々−トップへ (2007/08/14)
     第16回   “軽老精神”
庫裡から悶々
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第35回 語り継ぐ義挙

第34回 良い夢見ようよ

第33回 舌禍読禍宰相禍

第32回 冒頭の終わり

第31回 振り込め詐欺の真犯人

第30回 「老人力」のすすめ

第29回 僧徒たるを悔ゆる日

第28回 偶感「昭和二十年八月十五日」

第27回 仰げば恥ずかし わが師の陰

第26回 横綱の品格

第25回 『黄門さま』いずこ

第24回 戒めの16文字

第23回 百年目の「汚物教師」

第22回 怠慢の「12分」

第21回 物言いの一番

第20回 沖縄戦集団自決の真相究明に妥協は許されない

第19回 落ち葉して木々凛々と

第18回 『広辞苑』と私

第17回 子なき家

第16回 “軽老精神”

第15回 5W1Hプラスα

第14回 教育勅語から酌むべきもの

第13回 失われたニッポン人のDNAは再生出来るか

第12回 助けられたり助けたり

第11回 怯懦な共犯者

第10回 「最良のもの」探す日々

第9回 内角の和の中にをり石鼎忌

第8回 世直し先生は街角にいる

第7回 ある天文学者の遺言

第6回 壊れる家々の悲鳴

第5回 嗚呼!硫黄島−兵士たちの慟哭が聞こえる


第4回 よく聴けよ!柳沢大臣

第3回 無機質な社会の中で


第2回 義挙へのもどかしさ

第1回 ついの棲み家は姥捨山

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 カモン!ルーシー
とかくこの世はははんほほう話


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 檀林風発 


肇道和尚の「如是我聞」

 市役所から新しい健康保険証が送られてきた。添付された文書を読んで驚いた。来年4月から医療保険制度が変わり、満75歳以上の高齢者には「後期高齢者医療制度」が適用されるという。
 いったい、「後期高齢者」とは、何という呼び名か、とむかっ腹が立った。もっとまともな呼び方ができるだろうに行政はどうかしている。
 30年も前の話だが「60余歳のおばあさん」と書いた新聞が不買運動に遇ったことを思い出しながら、老人いびりもここまできたかと、しばらく怒りは収まらなかった。

 そもそも、後期とはなんぞや。一定の期間を前・中・後、または前・後に分けた最後の時期のことだ。「後期高齢」と四字熟語にすれば、最後のどんづまり、どうしようもない老人ということにならないか。それでなくても老先短い年寄りに、わざわざ「後がありませんよ」と告げる残酷さを、役人どもは人間としてどのように心得ているのか。

 老人介護に当たったことのある者なら、いまの病院・医師の態度がどんなに老人に冷淡かを身に染みているはずだ。
 いまの若者たちにはびこる殺人やいじめなどの人命軽視の風潮も、こんな国策の延長線上現象にある。政治に思いやりがある社会だったら、世の中がここまで荒みはしなかっただろう。
 医療現場には「末期症状」という言葉があるが、そのうち保険証には「末期高齢者」などと記されかねない。

 交通機関には「シルバーシート」という優しい言葉がある。行政機関もお年寄りの人権を思いやった表現使いに改めてしかるべきだ。

 いや、改めるべきは表現だけではない。「後期高齢者医療制度」の内容も、お年寄りには冷酷に過ぎる。狙いは、早くクタバレ施策にほかならない。その制度の要点を列挙してみる。
  1.  子どもたちに扶養され、いまは本人負担額ゼロの後期高齢者も4月からは医療保険料を徴収される。そうなると、年金の中から孫に与えていたお小遣いもやれなくなるかも。肩身が狭い思いをするだろう。
  1.  年金暮らしの後期高齢者の医療保険料は、年金から天引きされる。平均的厚生老齢年金受給者の場合、保険料は月額6,200円(年額74,400円)の負担増となる。
     月額15,000円以上の年金受給者を対象に、2ヶ月ごとに介護、医療の両保険料合わせて2万円以上の天引きを覚悟しなければならない。
  1.  年金で天引きできない「現金納入者」の滞納が、特別の事情もないのに1年6ヶ月以上になると、保険証を取り上げられ資格証明書に切り替えられる。
  1.  医者に支払われる診療報酬も、後期高齢者の扱いが他の医療保険と別建ての「包括定額制」となる。例えば、75歳以上の高血圧症の患者は検査、注射、投薬など合わせて1ヶ月××円と決められた特別メニューが用意されてしまう。当然、後期高齢者を診療した医者の報酬も引き下がる。患者は限られた治療しか受けられないから掛かり付けの医者にしか行けなくなる。
     つまり、75歳以上の老人の保険料は上がるけれど、受けられる医療は最低というわけ。お年寄りの「痛み」は、加齢とともに強まるのだ。
  1.  高齢者のための公的保険給付が削減、縮小される一方で、都道府県に対しても「医療費適正化」の名の下に、その目標数値の策定が義務付けられる。
     全国保険医団体連合会の解説書には「適正化とは、いかに患者に保険医療をつかわせないか」と各府県間で競争させる仕組だと指摘している。

 現在75歳以上といえば、大半は戦中派。戦火をかいくぐってきた激動の人生経験者への国の処遇が「姥捨山」とは、いったいどこが「美しい日本」なのか。
 先の参院選で「消えた年金」処理問題が与野党間の争点となったが、後期高齢者医療問題がその渦中で埋没してしまったことが残念でならない。

 嗚呼、敬老、改め「軽老」なり。全国のお年寄りよ、かくなる上はせいぜい元気で、長生きしてやりましょうぞ。









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