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−庫裡から悶々−トップへ (2007/04/28)
     第11回   怯懦な共犯者
庫裡から悶々
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第35回 語り継ぐ義挙

第34回 良い夢見ようよ

第33回 舌禍読禍宰相禍

第32回 冒頭の終わり

第31回 振り込め詐欺の真犯人

第30回 「老人力」のすすめ

第29回 僧徒たるを悔ゆる日

第28回 偶感「昭和二十年八月十五日」

第27回 仰げば恥ずかし わが師の陰

第26回 横綱の品格

第25回 『黄門さま』いずこ

第24回 戒めの16文字

第23回 百年目の「汚物教師」

第22回 怠慢の「12分」

第21回 物言いの一番

第20回 沖縄戦集団自決の真相究明に妥協は許されない

第19回 落ち葉して木々凛々と

第18回 『広辞苑』と私

第17回 子なき家

第16回 “軽老精神”

第15回 5W1Hプラスα

第14回 教育勅語から酌むべきもの

第13回 失われたニッポン人のDNAは再生出来るか

第12回 助けられたり助けたり

第11回 怯懦な共犯者

第10回 「最良のもの」探す日々

第9回 内角の和の中にをり石鼎忌

第8回 世直し先生は街角にいる

第7回 ある天文学者の遺言

第6回 壊れる家々の悲鳴

第5回 嗚呼!硫黄島−兵士たちの慟哭が聞こえる


第4回 よく聴けよ!柳沢大臣

第3回 無機質な社会の中で


第2回 義挙へのもどかしさ

第1回 ついの棲み家は姥捨山

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 カモン!ルーシー
とかくこの世はははんほほう話


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 檀林風発 


肇道和尚の「如是我聞」

 『特急内で強姦 すごまれ40人の乗客沈黙』のニュースに私の血は凍りついた。
 ここまで落ちたか日本人。こんな場合、お前だったらどうする。私は、自らに問いかけながら、この原稿を書いている。

 事件は昨年8月、JR北陸線の特急「サンダーバード」内で起きた。男が21歳の女性乗客の下半身を1時間余り繰り返し触った後、車内トイレに連れ込んでさらに30分余暴行した。女性は涙を流し嗚咽しながら連れて行かれたのに、同一車内に乗り合わせていた約40人の客は一様に見て見ぬふりをしていたという。

 野獣にも劣るこの男は滋賀県湖南市の36歳の解体工だが、実はこの犯行の4ヵ月後にも湖西線電車内と大津駅構内トイレで同様婦女暴行を繰り返していた。
 もしも、最初の事件の際、特急車内に勇気ある乗客がいたら、後の2件の被害は起きなかったはずだ。と思う時、「見て見ぬふり」を決め込んでいた40人の道義的責任を問わずにはいられない。

 似たような事件を目撃したことがある。
まだ連合軍に占領されていた頃である。山手線内で女性が駐留軍兵士にいたずらされそうになった。その瞬間、日本人の若者が兵隊に襲いかかった。と同時に、数人の日本人がなだれを打って女性を守った。
 敗戦に打ち萎れていた日本人が久々に見せた小気味よい風景だった。


 今や日本国中、見て見ぬふりのオンパレード。学校では先生や同級生がいじめを放置し、多くの幼い心を傷つけ、死へも追いやっている。
 親が育児を放棄し、食事を与えずに乳幼児を餓死させたりもしている。子供が泣き叫んでも見て見ぬふり、周囲もしらん顔して被害を増幅させている。
 厚生労働省の薬害行政は危険を承知しながら放置するのが常套。だから、サリドマイド、クロロキン、エイズ、肝炎、ヤコブ病などで、くい止められた惨禍を広げてしまう罪を犯してきた。

 厚労省の責任を問う民事裁判では「不作為責任」「行政不作為」といった“必要な手段を講じなかった責任”が問われ、それを認めた判決も出ている。
 「見て見ぬふり」をした者の責任を「何も出来なかった状況だった」といった消極的な捉え方で片付けて仕舞っていいのだろうか。
 か弱い女性が目の前で暴行されているのに、指をくわえて見ている行為は、加害者と同様に罪深いことではないだろうか。

 刑法には「現場共謀」という考え方がある。集団で暴行や恐喝が行われたとき、実際に犯行に加担しなくても、犯行グループに加わっていれば共謀共同正犯に問われる。仲間の犯行を制止もできず、ぶるぶる震えていただけでも、立派な共犯者とされてしまうのだ。
 とすれば、特急電車に乗り合わせていた乗客たちも「現場共謀」で暴行男の共犯、といわれてもおかしくないほど罪深いと思う。わが身の危険を顧みずに立ち上がらなければならない時もあるのだ。

 (わたしが21世紀劈頭、JR山手線・新大久保駅ホームから転落した男を助けようとして犠牲となった関根史郎、李秀賢両氏の追悼供養を続けているのはこのためである)             「義挙へのもどかしさ」

 例え相手の図体が大きく、腕力もあり、凶暴そうで歯が立たなくても、声を掛け合えば何とかなったはずだ。また、車掌を呼びに走ったり、非常ブザーを鳴らすことも出来たであろう。車内の消火器で立ち向かうことも可能だった。一人が持っていた荷物を投げつければ同調者は次々と出ただろう。「火事だ」と叫んで急を告げるなど、とっさの機転が飛び出さなかったのはなぜだろう。
 それは「他人の面倒に係わりたくない」エゴに固まった今様日本人の正体を見せつけられた悲しい事件ではなかったろうか。

 それにつけても不可解なのは、当該特急の車掌が気づかなかったことだ。
 国鉄時代、車掌は「カレチ」と呼ばれていた。客車のカ、列車のレ、長のチを略した業界呼称で、客車列車長なのだ。その職務は旅行者が快適な旅行をできるように車内を巡視し乗客の声を聞くことだ。
 「乗車券拝見」の検札も、本来は不正乗車を摘発するためだった。
 優等列車の特急は、スピード、車両、快適の三つのサービスが売り物のはず。旅客もそれを期待するからこそ高い料金を払っているのだ。それなのに車内犯罪を見逃したJR西日本の責任はどうなるのだろう。

 それぞれの立場で反省すべきことは多い。重ねて問う。こんな日本に誰がした。懺悔あるのみ。







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