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−庫裡から悶々−トップへ (2007/04/21)
   第10回 「最良のもの」探す日々
庫裡から悶々
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第35回 語り継ぐ義挙

第34回 良い夢見ようよ

第33回 舌禍読禍宰相禍

第32回 冒頭の終わり

第31回 振り込め詐欺の真犯人

第30回 「老人力」のすすめ

第29回 僧徒たるを悔ゆる日

第28回 偶感「昭和二十年八月十五日」

第27回 仰げば恥ずかし わが師の陰

第26回 横綱の品格

第25回 『黄門さま』いずこ

第24回 戒めの16文字

第23回 百年目の「汚物教師」

第22回 怠慢の「12分」

第21回 物言いの一番

第20回 沖縄戦集団自決の真相究明に妥協は許されない

第19回 落ち葉して木々凛々と

第18回 『広辞苑』と私

第17回 子なき家

第16回 “軽老精神”

第15回 5W1Hプラスα

第14回 教育勅語から酌むべきもの

第13回 失われたニッポン人のDNAは再生出来るか

第12回 助けられたり助けたり

第11回 怯懦な共犯者

第10回 「最良のもの」探す日々

第9回 内角の和の中にをり石鼎忌

第8回 世直し先生は街角にいる

第7回 ある天文学者の遺言

第6回 壊れる家々の悲鳴

第5回 嗚呼!硫黄島−兵士たちの慟哭が聞こえる


第4回 よく聴けよ!柳沢大臣

第3回 無機質な社会の中で


第2回 義挙へのもどかしさ

第1回 ついの棲み家は姥捨山

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とかくこの世はははんほほう話


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 檀林風発 


肇道和尚の「如是我聞」

 東京港区の虎の門病院の正面玄関に『基本理念』と題するレリーフが掲げられている。
      医学への精進と貢献、病者への献身と奉仕を旨とし、
      その時代時代になしうる最良の医療を提供すること。

 政治家好みのマニフェストみたいだが、その心意気やよし、というべきか。もっともわざわざ理念を人前にさらし、自分たちを鼓舞しなければならないほど厳しい事情があるのではないか、と勘繰りたくもなる。

 いま、医療の現場、特に公立や大学病院での医師不足は深刻のようだ。病院によっては閉鎖したり、診察料を減らして対応しているのが現状だ。
 そこで、こんな因果が浮かんでくる。

 医者不足で患者の診療待ち時間が長くなった/長くなったから患者同士の接触が多い/接触が多いから余計な病気までうつされる/うつされるから病院通いが続く/続くから患者が増える/患者が増えれば医療費がかさむ/医療費がかさめば国庫が窮する/国庫が窮すれば税金が上がる/税金が上がれば市民は困る/困った市民は病院に行けない/病院に行けないから病気は治らない/治らないから慢性患者が増える/慢性患者が増えれば医師の仕事が倍増する。

 「風吹けば桶屋が儲かる」式の発想だが、経済協力開発機構(OECD)によると、日本の病院の医師配置実績は100病床当たり13.7人。ドイツ37.6人、アメリカ66.8人に較べて圧倒的に少ない。国もそれを認めて自治医大を設置したり、各県に医大を作らせて医師確保に努めてきた。
 その結果、医師余り現象を招いたので、あわてて医学部の入学定員を減らす策に転じたこともあった。
 つまり戦後数十年間の医療行政は、その場凌ぎの繕いだった。

 昭和30年代、国立千葉病院院長を務めた鈴木五郎・千葉大医学部教授は、駆け出し記者の私たちを掴まえては、先見性のない医療行政の弊害を嘆いておられた。それはズバリ今日を予言したものであった。

 にもかかわらず、厚労省幹部はあい変わらず「医学部の定員を増やすことは必ずしも必要でない」と国会答弁している。
 答弁の背景には、地域によって、あるいは診療科によっては医師が不足していても、全体的にはほぼ足りているとの認識があるからだ。それだけではあるまい。医師を増やしてパイの分配を減らしたくないとの思いも働いているはずだ。

 団塊の世代や団塊ジュニアが生まれた時期は産婦人科が繁盛し、高齢化の時代には整形外科医が増える。その一方で、24時間態勢の激務を強いられる産科医や医療ミスを問われがちな外科医、小児科の志望者はめっきり減った。過疎地診療に従事する交換条件としていたはずの奨学金も、医師資格を取得してしまえば全額返還して地方行きを回避する。
 「むかし仁術、いま算術」の医学界といわれて返す言葉があるだろうか。

 この時代に期待される医師とはどうあるべきか。改めて考えると、虎の門病院の基本理念が重みを増してくる。
医学への精進と貢献、病者への献身と奉仕を旨とし、    その時代時代になしうる最良の医療を提供すること。
 高齢・少子化の真っ只中、延命のための治療やターミナルケア、ペインクリニックなどはどうあるべきか。厚労省は終末期医療のガイドラインをまとめたが、他人事とは言っていられない。人の生き死にと向き合わねばならぬ究極の課題だけに、宗教人も応えなければならない時が来たことを痛感する。
 そうだ、私がいま、なしうる最良のものとは何だろう。時代に鈍感などといわれないためにも、自問自答を繰り返す今日この頃である。






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