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−庫裡から悶々−トップへ (2007/03/27)
       第7回 ある天文学者の遺言
庫裡から悶々
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第35回 語り継ぐ義挙

第34回 良い夢見ようよ

第33回 舌禍読禍宰相禍

第32回 冒頭の終わり

第31回 振り込め詐欺の真犯人

第30回 「老人力」のすすめ

第29回 僧徒たるを悔ゆる日

第28回 偶感「昭和二十年八月十五日」

第27回 仰げば恥ずかし わが師の陰

第26回 横綱の品格

第25回 『黄門さま』いずこ

第24回 戒めの16文字

第23回 百年目の「汚物教師」

第22回 怠慢の「12分」

第21回 物言いの一番

第20回 沖縄戦集団自決の真相究明に妥協は許されない

第19回 落ち葉して木々凛々と

第18回 『広辞苑』と私

第17回 子なき家

第16回 “軽老精神”

第15回 5W1Hプラスα

第14回 教育勅語から酌むべきもの

第13回 失われたニッポン人のDNAは再生出来るか

第12回 助けられたり助けたり

第11回 怯懦な共犯者

第10回 「最良のもの」探す日々

第9回 内角の和の中にをり石鼎忌

第8回 世直し先生は街角にいる

第7回 ある天文学者の遺言

第6回 壊れる家々の悲鳴

第5回 嗚呼!硫黄島−兵士たちの慟哭が聞こえる


第4回 よく聴けよ!柳沢大臣

第3回 無機質な社会の中で


第2回 義挙へのもどかしさ

第1回 ついの棲み家は姥捨山

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 カモン!ルーシー
とかくこの世は
ははんほほう話


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 檀林風発


肇道和尚の「如是我聞」

 業界専門誌の目線には“サスガ”と思わせるものがある。宗教界の情報誌『中外日報』1月25日号の社説は、主要全国社会面に掲載された死亡広告を取り上げ、型破りの告知と評していた。
 指摘された死亡広告を捜し出した。遺族による夫の死亡告知と葬儀を行わない旨の通知の後に、故人の遺言が掲載されていた。確かに型破りな死亡広告だった。

 広告文では、六十余年にわたる人生の折々を支援してくれた人々に感謝を捧げる一方で、敵対した人へも“わが人生に彩りを添えてくれ、楽しかった”と礼を述べられていた。その上で、こう続いていた。
 「神の存在を信じていなかった私の死後、宗教色の形式的な葬式など理に沿わない。葬式無用、遺骨も残して欲しくない。香典固辞。もし、生前の私に好意をお持ちだったら、妻と娘に、私との付き合いがどんなものであったかを手紙で知らせてやって欲しい」

 故人と遺族の名前以外、住所の記載もなかったが、インターネットで検索したところ、故人は著名な天文学者だった。私の知人(故人)の天文書出版社からも本を出していた。

 全国紙の社会面へ2段抜き3分の1を占める広告を、数社に掲載しているのだから尋常な金額ではない。そんな広告の掲載を遺族に指示して死んで行った故人の意図はナンだったのだろう。

 私の知人にも、みずからの手で死亡通知を書いていた男がいた。
 「私こと○○は×月×日死去いたしました―」で始まる通知文は××部分だけ空欄にして友人に託し、死亡日時を埋めて、社内報用に提出してほしいと伝言したのだった。

 著名人の訃報が伝わると、新聞者の広告部員が飛んで行って黒枠の死亡広告を掲載したのは昔のこと。いまは、社会面の死亡記事にも“葬儀は内々で済ませました。後日、偲ぶ会を開催します”といった類が多くなっている。当然、住所や連絡場所も非公開である。

 「親(身の人々)は泣き寄り、他(人)は食い寄り」といった葬式風景は今殆どみられない。昨今の葬送儀礼は多様化した。人生の終焉を派手に飾ってやりたいと思う遺族がいるかと思えば、身内や同志、同好者だけで送りたいと願う人もいる。中には時流にのって散骨はしたけれど、お参りする墓がなくて空しさを感じている人もいるようだ。
 世相に敏感な葬祭業者の中には、大ホールを改装して家族葬向け斎場を設けてもいる。

 前述の天文学者の遺言は
 「ひょっとしたら、私が亡くなればこの宇宙全体も無くなるのではないかと思ったりしています。万一、みなさまの存在が残る場合には、有意義な人生を過ごされるよう願っております」と続いていた。

 さすが、天文学者。と、うなづいた瞬間、『千の風になって』の歌詞が私の脳裡をよぎった。
  私のお墓の前で泣かないでください/千の風になって あの大きな空を吹きわたっています

 ひょっとしたら、地球の終焉を予知しての警告が、この遺言の真意だったのかも知れない。






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