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ははんほほう話                                (2011/01/02)
第17回 “村十分社会”への叛旗
ははんほほう話
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第18回 「鬼手仏心」の裏側から

第17回 “村十分社会”への叛旗

第16回 トイレの神様

第15回 大きな忘れ物

第14回 “キになる”言葉

第13回 汝、西方を思念せよ

第12回 自殺と共生――清水由貴子さんの死に思う

第11回 僧侶の一分

第10回 妙子地蔵縁起

第9回 「共生」考

第8回 私のお墓の前で泣いてください

第7回 「足のない教団」といわれて

第6回 おふくろさんよ

第5回 ウルトラマンの慈悲

第4回 ほのぼの交番

第3回 「定形外」を目指す


第2回 再論・悪魔ちゃん騒動

第1回 本能と煩悩

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 カモン!ルーシー
庫裡から悶々
とかくこの世は




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 檀林風発
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肇道和尚の「如是我聞」
 
 『村八分』は、江戸時代の共同体における集団リンチだった。掟を破り、村人たちの生活を脅かす「ならずもの」に村中の取り決めとして八分の制裁を課した。残る二分とは火事と葬式で、その時だけは助っ人をしてやるが、ふだんの付き合いでは仲間はずれにする定めだった。


 昔は相当な大火でも焼死者をさほど出さずに済んだのは、隣近所が総出で被災者の救助や消火活動に当たったからだ。そこには村八分でも火事は別と考える強い紐帯があった。それに引き換え、最近はちょっとしたボヤでも犠牲者が目立つ。核家族化と高齢化で老人家庭が増えた影響が見逃せないし、住宅の構造や建材の問題もあろうが、何よりも隣保意識が欠落していることが災難を増幅している一大要因だろう。


 他人サマに「家の中を覗かれたくない」、「干渉や余計なお世話はお断り」と近所付き合いをしなくなったから、子どもが泣きわめこうがキナ臭さを感じようが誰も声を掛けない。煩わしさやご難を敬遠するあまり、村八分、いや、村十分で結構じゃないか、とする乾ききった『無縁社会』が構築されてしまったのだ。


 ♪とんとんとんからりと隣組 障子を開ければ顔馴染み 回して頂戴回覧板
  知らせられたり知らせたり
  とんとんとんからりと隣組 あれこれ面倒味噌醤油 ご飯の炊き方垣根越し
  教えられたり教えたり
  とんとんとんからりと隣組 地震に雷・火事・泥棒 互いに役立つ用心棒
  助けられたり助けたり
 (岡本一平作詩「隣組」)


 懐かしい歌声をご記憶の向きも少なくなかろう。戦前戦中の隣組制度は相互監視による弊害ばかりが批判されてきたが、ご近所を大切にする優しさと思いやりの美風があったことも忘れてはなるまい。昨年、NHKは独りよがりの『無縁社会』にメスを入れるキャンペーンを展開し、大きな反響を呼んでいたが、果たして、人々は失ったものの大きさにどこまで気づいていることか。


 世間では高齢者のみならず中年までが相次いで孤独死を遂げている。年間3万人を超す自殺者の群れはあとを絶たない。その問題の解決を、今の政治に求めても、あの政界の体たらくでは期待できそうにない。となれば、行きつく先は宗教しかなかろう。『無縁社会』の対極にある『共生社会』は、もともと仏教の因果の法則から出たもので、この世に無縁な関係など存在しない、という教えである。


 そもそも、寺に「無縁仏」があるのはおかしな話なのだ。祭祀の後継者がいなくても同じ墓域に眠る諸霊の供養は寺の務めであり、冥福を祈って墓参し合うのも寺を共にした檀信徒の心得。共に「絆の友」なのだ。墓は、私たちのルーツでもある。私の寺の墓苑入口に「生きる」と刻んだ石碑を建ててある。先祖がいて、やがて子孫に引き継ぐ。その接点に私がいるからだ。たとえ引き継ぐべき子孫がいなくとも、墓はこの世にあった「私」の存在を強調する場でもある。「我は孤ならず」である。


 波乱に満ちた昭和を生きた人は、その慟哭を後世に伝えたいと念じているに違いない。非常時に生まれ、やがて戦争に巻き込まれ、敗戦の苦しみと悲惨を味わった。復興のために悪戦苦闘した末、ようやく掴んだ平和の喜びを享受したと思ったのも束の間、社会のありようは一変してしまった。「無軌道日本」に成り下がった現状は、夫婦共働きの犠牲となり、教育を放棄された「カギっ子」たちの復讐なのか、と思えて来る。“護国の鬼”と化した戦友たちと『あの世』やらで再会したとき、なんと申し開きすればよいかと思うと、いたたまれなくなる。


 20世紀の生きざまを形にして遺したい。魂の叫びが聞こえる墓を作ろう。世代を超えた心の交流と共生を願うメモリアル。それを実現させて『無縁社会』と決別したい。村十分に疑問を抱かぬ社会に叛旗を掲げ、『昭和人の遺言』のモニュメントを作る。それが、今年の初夢だ。







和尚が聞く!‐NYOZEGAMON INTERVIEW‐

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