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ははんほほう話 (2007/01/04)
第2回 再論・悪魔ちゃん騒動
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第2回 再論・悪魔ちゃん騒動

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 檀林風発




肇道和尚の「如是我聞」
 
 古い話をぶり返すようだが、あの『悪魔ちゃん命名騒動』で、父親があれほど悪魔にこだわったのは、なぜだろうか。

 悪魔と聞いて思い付くのは、アメリカの風刺作家、A・ピアスの『悪魔の辞典』。20世紀初め、サンフランシスコの週刊紙にそれが連載されると、読者は「ニガヨモギと酸をインク代わりに使ったようだ」と辛辣な筆法を評した。ピアスの風刺は、見せ掛けのベールを剥ぎ取り、本当の姿を追求することにあった。

 その辞典の「悪魔」の項によると、悪魔はもと大天使の役職に就いていた。不都合をしでかして天国から下界に追放された。その途中、再び天国に立ち戻って神様に言った。「神様は人間をお造りになるそうですが、人間には掟が必要だと思うのです」

 「お前はワシの命令で人間の敵として下界に住み、永遠に人間の魂を憎み続けるのだ。そのお前が、人間のために掟を作る権力を欲しいというのか」「いえ、人間の掟は人間自身で作ることをお許し願いたいのです」。神様はその願いを聞き入れた。こうして、道徳とか、法律とかいう人間社会の掟作りが人間自身に任された、とピアスはいう。

 だが、ふてぶてしい人間どもは、自ら作った掟を破っても《天の声》などといって繕っている。もしも、人間社会のすべてを造物主が支配していたら、戦争も政界の不祥事も起こらなかったし、地球環境の破壊もなかったかもしれない。悪魔の囁きは、神様に取り返しのつかない過ちを犯させてしまったのだ。

 悪魔は、仏教の世界にも登場する。相応部経典によれば、弟子のラーダが仏陀に尋ねた。「悪魔とは何者ですか」。仏陀は答えて「色(形あるもの)は魔なり。受(感覚)は魔なり。想(姿)は魔なり。行(行い)は魔なり。識(判断)は魔なり」。つまり、見たり聞いたり考えたりすることの中に悪魔は宿っていると、仏様はおっしゃる。人間は、見たり聞いたり考えたりするそばから、それとは反対のことを思い出す弱さを持っている。経典は、その様をこんなたとえ話で示している。

 悪魔が仏に囁いた。「人は子を持てば、その子ゆえに生き甲斐を感じて喜び、牛を手にすれば、牛によって生き甲斐を感じて喜ぶ。頼りになるものは肉親や財産である。肉親や財産のない人には生き甲斐も喜びもない」。仏は首を横に振っていった。「子を持ったものは子ゆえに憂い、牛を手にしたものは牛ゆえに憂う。頼りとなるもののためにかえって人は憂う。頼りとなるものを持たないものに憂いはない」

 この対話のように肉親や財産は、心の支えになる一方で心の負担にもなる。人は常に、そうした二面性に振り回されて生き続けている。悪魔ちゃん騒動は、人の心に巣食う悪魔を考える良い機会だった。

                      (『花岳山報』1994年7月2日号「月光」をリメークしました)



※悪魔ちゃん騒動 東京昭島市のスナック経営の父親(当時30歳)が、1993年7月に生まれた長男に「悪魔」と命名して、昭島市役所に届け出た。いったんは受理されたが、戸籍課課員の間で疑問の声が上がったため、同市役所は法務省に問い合わせた。法務省は市長印を押印しないように指示、それを受けて昭島市長は「将来、子供が差別を受けると予想されるなど社会通念上、不適当」として戸籍から名前を抹消すると共に、父親に名前を変えるように催告書を送付した。
 これに対して父親は「戸籍法上問題はない」と東京家裁八王子支部に不服を申し立てた。同支部は親の命名権の乱用との判断を示したものの、同市役所がいったん受理したことなどから戸籍登載を命令。今度は同市役所側が即時抗告したが、父親は司法の結論が下されるまで子供が戸籍上無名のままになってしまうこと、精神的にダメージを受けたこと、言い分が認められたことなどを理由に請求を取り下げ、改名に応じたため騒動は落着した。


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